ガソリンの暫定税率廃止はどうなる?価格の変動と補助金終了リスクを解説
この秋、車を使う人にとって大きなニュースが話題になっています。
長年ガソリンに上乗せされてきた「暫定税率」について、2025年11月からの廃止案が国会で議論されています。
実施時期は最終決定ではありませんが、実現すればガソリン価格は一時的に下がると見込まれます。
ただし、同時期に政府が続けてきた「ガソリン価格補助金(燃料油価格定額引き下げ措置)が終了する可能性もあり、世界の原油価格や円相場といった要因も影響するため、今後の価格動向は簡単には予測できません。
この記事では、ガソリンの税金や補助金のしくみ、暫定税率廃止案が私たちのガソリン代や生活に与える影響を、最新情報に基づきながら分かりやすく解説します。
目次
「暫定税率」ってそもそも何?
ガソリンの店頭価格には複数の税金が含まれています。その中の一つが「ガソリン税」。さらにその上に「暫定税率」という特別な上乗せ分があります。
1. 本来のガソリン税(本則税率): 1Lあたり 28.7円
2. 暫定税率 : 1Lあたり 25.1円 前後(本則に加算)
合計すると、1Lあたり約53.8円が税金として加わっているのです。
「暫定」と名前がついているのに長年続いてきたのは、1960年代に道路整備などの財源確保のために導入された一時的な税率が、その後も財源不足や社会インフラ整備の必要性から繰り返しも延長されてきたためです。半世紀たった今もなお続いてきましたが、ついに廃止の方向で議論が進んでいます。
ガソリンが高いのはなぜ?

ガソリン価格高騰の背景にはいくつかの要因があります。
●国際的な原油価格
戦争、産油国の減産、世界的な需要増などで大きく変動します。
●円安の影響
日本は原油を輸入しているため、円の価値が下がると仕入れコストが上がります。
●税金の重さ
ガソリン税+暫定税率+消費税と複数の税金がかかり、原油が安くなっても価格が大きく下がりにくいのが現状です。
そしてもう一つ、ここ数年のガソリン価格を下支えしてきたのが政府の補助金です。
今も続くガソリン補助金
政府は2022年からガソリン価格の高騰を抑えるために「燃料油価格定額引き下げ措置(補助金)」を実施しています。現在(2025年9月時点)でも1Lあたり約10円程度の補助が続いており、これがなければ店頭価格はさらに高くなっていたはずです。
ただしこの補助金が今後も続くかどうかはまだ不透明です。財政負担が大きいため、2025年以降に縮小や終了が検討される可能性が指摘されています。
「暫定税率廃止」が実現されるとガソリン価格はどう変わる?
もし暫定税率が廃止されたら、ガソリンの店頭価格はどう動くのでしょうか。ここでは、補助金が続く場合と終了する場合の2つの想定で見てみます。
補助金が継続したまま暫定税率が廃止される場合
予想価格(円/L) | |
---|---|
暫定税率廃止前(補助あり) | 約170円 |
暫定税率廃止後(補助あり) | 約145円 |
補助金が終了してから暫定税率が廃止される場合
予想価格(円/L) | |
---|---|
暫定税率廃止前(補助なし) | 約180円 |
暫定税率廃止後(補助なし) | 約155円 |
年間コスト シミュレーション(補助金あり / なしの比較)
年間走行距離 | 年間消費量 (燃費12km/L 想定) | 税率廃止前 | 税率廃止後 (補助金あり) | 税率廃止後 (補助金なし) |
---|---|---|---|---|
5,000km | 約417L | 約71,000円 | 約60,500円 | 約65,000円 |
10,000km | 約833L | 約142,000円 | 約121,000円 | 約129,500円 |
15,000km | 約1,250L | 約212,500円 | 約181,500円 | 約194,000円 |
補助金ありの場合の方が安いですが、仮に補助金がなくなっても、税率廃止によって現状よりは負担が軽くなる見込みです。
地域ごとの影響 ー 都市部と地方での違い
●都市部公共交通機関が整っており、車に依存しない家庭では影響は限定的。
●地方
通勤・買い物・送迎まで車が必須。年間走行距離が長いほど、補助金の有無や税制変更の影響が大きく、年間4万円以上差が出る可能性もあります。
将来のクルマ選びと新たな税制度の可能性

ガソリン価格の先行きが不透明な中、電気自動車(EV)やハイブリッド車を検討する人も増えています。ただし、EVについても「走行距離に応じた新たな課税制度(走行距離課税)」が検討されています。
「ガソリン車からEVに乗り換えれば燃料コストがゼロ」とは言い切れず、将来の制度変更を見据えた検討が必要です。
ドライバーが今からできる燃費対策
ガソリン価格は税金や補助金の影響を受けますが、私たちがすぐにコントロールできるのは日々の使い方です。特に、補助金が終了して価格が変動する可能性がある今、燃費改善の工夫は家計を守るシンプルで効果的な方法です。
以下に、誰でもすぐ実践できるポイントをまとめました。
- 急加速・急ブレーキを控える(最大10%改善)
- タイヤの空気圧を適正に維持(転がり抵抗を減らす)
- エアコンは効率よく使用(内気循環・弱め設定)
- 荷物を減らして軽量化
- アプリや会員価格で安いスタンドを選ぶ
ドライバーが知っておきたいQ&A
Q. 暫定税率はいつ廃止されるの?
現在、国会では「2025年11月1日から暫定税率を廃止する案」が提案されていますが、まだ法案成立・正式決定には至っていません。政治の議論次第で時期が前後する可能性があります。
Q. 補助金はいつまで続くの?
明確な期限は示されておらず、終了や縮小も未定ですが、突然の変更の可能背はあります。
Q. 補助金が終わったら急に高くなる?
現在1Lあたり約10円の補助があるため、それがなくなればその分価格は上がります。ただし同時に暫定税率が廃止されればある程度相殺されます。
Q. 軽油やハイオクの影響は?
ハイオクはレギュラーと同様に影響がありますが、軽油はもともと暫定税率が少ないので変化は小さいです。
まとめ:補助金と税制の変化を両方知って備える
ガソリン価格の未来は、税制や補助金、世界の情勢など多くの要素に左右されます。確定していない部分も多いですが、現時点で押さえておくと安心なポイントを整理しました。
- 暫定税率廃止は2025年11月からが有力だが、まだ正式決定ではない。
- 補助金が続くかどうかで、ガソリン代の下がり幅は大きく変わる。
- 地方ドライバーほど家計への影響が大きい。
- 将来的にはEVやハイブリッドも選択肢だが、課税制度の変化に注意。
今後のガソリン価格は、政策・補助金・国際情勢など不確定な要素が絡み合っていますが、最新の動きを理解しておくことで家計やカーライフの判断がしやすくなります。
アツミモータースでは、燃費の良い車種選びやカーライフの相談も受け付けています。車の買い替えを検討している方や、維持費を見直したい方はぜひご相談ください。
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