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ガソリンの暫定税率廃止はどうなる?価格の変動と補助金終了リスクを解説

2025年10月14日カテゴリ:時事

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この秋、車を利用する人にとって大きな話題となっているのが、長年ガソリンに上乗せされてきた「暫定税率」の見直しです。

電材、ガソリンの暫定税率は2025年12月31日、軽油は2026年4月1日に廃止する案が有力とされており、与野党間でも廃止の方向性については大筋で合意が進んでいます。ただし、正式な法案として成立する段階にはまだ至っていないため、最終決定ではありません。

もし予定どおり暫定税率が廃止されれば、ガソリン価格は税負担が軽くなる分だけ一定の値下がりが見込まれます。

一方で政府が実施してきた「燃料油価格定額引き下げ措置(ガソリン価格補助金)」は暫定税率の廃止と同じタイミングで終了が決定しています。

この記事ではガソリンの税金や補助金の仕組みを整理しつつ、暫定税率廃止がガソリン代や家計にどのような影響を与えるのかを、わかりやすく解説していきます。







「暫定税率」ってそもそも何?

ガソリンの店頭価格には複数の税金が含まれています。その中の一つが「ガソリン税」さらにその上に「暫定税率」という特別な上乗せ分があります。

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 1Lあたり金額 
  本来のガソリン税(本則税率)   約28.7円 
  暫定税率(本則に加算)   約25.1円 

合計すると1Lあたり約53.8円が税金として加わっているのです。

「暫定」と名前が付いているのに長年続いてきたのは、1960年代に道路整備などの財源確保のために導入された一時的な税率が、その後も財源不足や社会インフラ整備の必要性から繰り返しも延長されてきたためです。半世紀たった今もなお続いてきましたが、ついに廃止の方向で議論が進んでいます。







ガソリンが高いのはなぜ?

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ガソリン価格高騰の背景にはいくつかの要因があります。



国際的な原油価格

戦争、産油国の減産、世界的な需要増などで大きく変動します。




円安の影響

日本は原油を輸入しているため、円の価値が下がると仕入れコストが上がります。



税金の重さ

ガソリン税+暫定税率+消費税と複数の税金がかかり、原油が安くなっても価格が大きく下がりにくいのが現状です。



そしてもう一つ、ここ数年のガソリン価格を下支えしてきたのが政府の補助金です。









今も続くガソリン補助金、年末に廃止?

政府は2022年からガソリン価格の高騰を抑えるために「燃料油価格定額引き下げ措置(ガソリン補助金)」を実施してきました。現在も補助は続いており、2025年の暫定税率廃止に向けて段階的な拡充が進められています。

2025年末には、暫定税率の廃止と同じタイミングで価格が大きく変動しないよう、補助金によって最終的に約25円の引き下げ幅を実現することが目指されています。

補助金により店頭価格は本来の水準より抑えられてきましたが、この措置は恒久的ではありません。政府は、暫定税率廃止と同じ2025年12月31日に補助金も終了する方針を決定しており、年末以降は市場価格の変動がよりダイレクトに反映される見通しです。







「暫定税率廃止」が実現されるとガソリン価格はどう変わる?

もし暫定税率が予定どおり廃止されたら、ガソリンの店頭価格はどのように変化するのでしょうか。

現在、暫定税率の廃止と同じタイミングで補助金も終了することが決定しており、次のように価格は変動すると考えられます。


暫定税率廃止と補助金終了時の想定金額


予想価格(円/L)補足
暫定税率廃止前
約180円 → 約170円
※補助金10円の場合
補助金10円から段階的に拡充され、最終的に25円下がる見込み
暫定税率廃止後約155円

  • 補助金が終了すると、本来は価格が上がる
  • しかし同時に暫定税率が廃止されるため、相殺される構造になる

※原油価格・為替により変動幅が大きく変わるため、あくまで「構造上の値動き」のイメージです。




年間コストのイメージ(補助金終了後の負担感)

燃費 12km/Lの場合:


年間走行距離年間消費量税率廃止前
(補助金あり)
税率廃止後
(補助金なし・税率廃止)
5,000km約417L約71,000円約65,000円
10,000km約833L約142,000円約130,000円
15,000km約1,250L約213,000円約194,000円


  • 補助金は廃止に向けて増額されており、最終的には「暫定税率廃止による値下げ分」を吸収する役割を果たす





地域ごとの影響 ー 都市部と地方での違い

ガソリン価格の変化は、地域の生活スタイルによって受ける影響が大きく異なります。



都市部

都市部では、公共交通機関が発達しており、通勤・買い物・子どもの送迎などを車に頼らずに行える家庭も多くあります。そのため、ガソリン価格の下落や補助金終了の影響は比較的限定的で、家計全体へのインパクトも小さめです。




地方

一方、地方では日常生活の多くを車に頼るケースが一般的です。

仕事や買い物、学校の送迎などで年間走行距離が大きくなりやすいため、燃料費の変化が家計に直結します。

特に今回のように、補助金が年末で終了する一方で暫定税率(25.1円)が廃止される という複数の価格要因が重なると、年間の燃料コストには差が生まれやすく、走行距離によっては年間で3万円以上の負担差が出る可能性もあります。







将来のクルマ選びと新たな税制度の可能性

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ガソリン価格の動向が読みにくい中、電気自動車(EV)やハイブリッド車を検討する人も増えています。燃費性能の向上やエネルギーコストの変化に備えるうえで、車種の見直しは有効な方法のひとつです。

ただし、EVに関しては「走行距離に応じて負担を求める新たな課税制度(走行距離課税)」が国の検討事項として挙がっており、将来的に制度が変わる可能性があります。

そのため、「ガソリン車からEVへ乗り換えれば、燃料コストがゼロになる」という単純な構図ではなく、今後の税制・エネルギー政策を踏まえて総合的に判断することが重要です。

車を選ぶ際は、



  • 日々の走行距離
  • 充電・燃料のコスト
  • 車両価格や補助制度
  • 将来の税制変更の見直し

などをバランスよく比較し、ライフスタイルに最適な選択をすることが求められます。






ドライバーが今からできる燃費対策

ガソリン価格は税制の変更や補助金の終了など、私たちのコントロールできない要因で大きく変動します。だからこそ、日々の運転や車のメンテナンスを見直すことが、もっとも手軽で確実な節約方法になります。

ここでは、今日から誰でも実践できて効果の高い燃費改善のポイントをまとめました。



1.急加速・急ブレーキを控える

アクセルを強く踏んだり、急に止まったりすると燃料消費が増えます。

一定の速度を保つ「滑らかな運転」を意識するだけで、最大で約10%の燃費改善が期待できます。



2.タイヤの空気圧を定期的にチェック

空気圧が低いと転がり抵抗が増え、燃費が悪化します。

月1回の点検を習慣にすると、無駄な燃料消費を防ぐことができます。



3.エアコンは効率よく使う

エアコンの使い方次第で燃費が変わります。

「内気循環」や「弱めの設定」を活用し、必要以上に冷やしすぎないだけでも負担が軽減できます。



4.車内の荷物を減らして軽量化

荷物が多いほど車が重くなり、燃料を多く使います。

使わない工具や荷物を下ろすだけで、簡単に燃費向上が見込めます



5.アプリや会員価格で "安いスタンド" を見つける

地域や店舗でガソリン価格は意外と差があります。

価格比較アプリや会員割引を活用することで、1回の給油で数円~十数円の節約につながります。







ドライバーが知っておきたいQ&A

Q. 暫定税率はいつ廃止されるの?

現在、ガソリンの暫定税率は2025年12月31日に廃止する方向で調整が進んでいます。

軽油については、これより遅れて2026年4月1日廃止案が有力です。

与野党間で廃止の方向性は合意されていますが、正式な法案成立はまだで、最終決定はこれからとなります。


Q. 補助金はいつまで続くの?

政府は、ガソリン価格を抑えるための「燃料油価格定額引き下げ措置(補助金)について、暫定税率の廃止と同時に終了することを決定しています

現在は廃止までの価格変動を抑えるため、段階的に補助金が拡充されています。


Q. 補助金が終わったら、ガソリン価格は急に高くなる?

補助金が終了すると、本来であればその分だけ価格は上がります。

しかし同じタイミングで暫定税率(1Lあたり25.1円)が廃止されるため、補助金終了による値上がりと、税負担の軽減による値下がりが相殺され、急激な価格上昇が起きにくい仕組みになっています。

ただし、原油価格や為替相場といった市場要因によっては、価格が変動する可能性はあります。


Q. 軽油やハイオクの価格はどう変わる?

 ハイオクについて:

ハイオクは「揮発油(ガソリン」に分類されており、レギュラーと同じく税制の対象になります。そのため、暫定税率の廃止はハイオクにも同じように影響します

ただし、ハイオクはもともとガソリン本体価格が高めなため、税率が同じでも値動きの幅はレギュラーとは異なる場合があります。



 軽油について:

軽油はガソリンとは異なり、「軽油引取税」という別の税体系で課税されています。暫定税率の上乗せ分も小さく、影響は比較的限定的です。

また、軽油の暫定税率はガソリンより遅い「2026年4月1日廃止案」が有力となっており、価格の変化もゆるやかになる見込みです。





まとめ:補助金と税制の変化を正しく知って備える

ガソリン価格の動きは、税制改正や補助金の終了、そして世界的な原油価格や為替相場など、私たちではコントロールできない多くの要因に左右されます。

だからこそ、制度の変更点を正しく理解し、今後のカーライフに備えることが大切です。

現時点で押さえておきたいポイントは次のとおりです。



  • ガソリンの暫定税率は2025年12月31日に廃止する方向で調整中(軽油は2026年4月1日案)
  • 補助金は暫定税率廃止と同じタイミングで終了が決定
  • 地方のように「車依存度が高い地域」ほど、年間走行距離が長くなり、家計への影響が大きくなる
  • 将来的にはEV/ハイブリッド車の選択肢も広がる一方、新たな課税制度(走行距離課税など)の議論も進んでいるため、総合的な検討が必要

ガソリン価格の先行きは依然として不確実ではありますが、こうした最新の動きを知っておくだけでも、車選びや維持費の見直しがしやすくなります。

アツミモータースでは、燃費のいい車種のご提案や、ライフスタイルに合ったカーライフ相談も承っております。

「買い替えを検討したい」「維持費を抑えたい」などのご相談は、どうぞお気軽にお声がけください。

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