
豊橋市の中心部では路面電車が走っており、車と路面電車が同じ道路を通行する光景が日常的に見られます。
「市電」とも呼ばれ、市民に親しまれている身近な存在です。一方、車を運転するドライバーにとっては、「線路の上を走ってもいいの?」「停留所で路面電車が止まったらどうすればいい?」と迷うこともあるでしょう。
路面電車はレールの上を走るため、車のように自由に進路を変えることができません。そのため、道路交通法では軌道敷の通行や追い越し、停車中の路面電車への対応などについてルールが定められています。
この記事では、
- 路面電車が走る道路の基本ルール
- 路面電車と車の優先関係
- 軌道敷の通行ルール
- 路面電車の信号の見方
- 停留所付近の注意点
など、ドライバーが知っておきたい交通ルールをわかりやすく解説します。
路面電車が走る道路とは?基本の仕組み

路面電車と一般道路の関係
路面電車とは、道路上などに設けられた軌道を走行する電車です。
一般的な鉄道とは異なり、道路上を車と一緒に走行する区間があることが大きな特徴です。
そのため、路面電車が走る道路では、車や歩行者だけでなく、路面電車の動きにも注意して運転する必要があります。
路面電車と車はどちらが優先?
路面電車の進行を妨げないことが重要
車が軌道敷内を通行する場合は、路面電車の進行を妨げてはいけません。
軌道敷内を走行中に後方から路面電車が接近したときは、速やかに軌道敷の外へ出るか、路面電車との間に必要な距離を保つ必要があります。
路面電車はレールに沿って走行するため、車のように自由に進路を変えることができません。路面電車の進路を横切るときは、特に注意しましょう。
路面電車の線路(軌道敷)を車が走ってもいい?
路面電車の線路部分は「軌道敷(きどうじき)」と呼ばれます。
車は原則として軌道敷内を通行できませんが、右左折などのために軌道敷を横切る場合や、道路状況などによっては通行できる場合があります。
軌道敷内を走行できるケース
道路交通法では、主に次のような場合に軌道敷を横切ったり、通行したりすることが認められています。
- 左折、右折、横断、転回のために軌道敷を横切る場合
- 道路の損壊や工事などにより、軌道敷以外の部分を通行できない場合
- 道路標識などによって軌道敷内の通行が認められている場合
「基本的には入らない。ただし、必要な場合に限って通行できる」と覚えておくとわかりやすいでしょう。
「軌道敷内通行可」の標識とは
道路によっては「軌道敷内通行可」という標識が設置されていることがあります。
この標識がある区間では、標識の対象となる自動車は軌道敷内を通行できますが、「路面電車を気にせず中を走ってよい」という意味ではありません。
軌道敷を車線の一部として利用できる区間だと考えると分かりやすいでしょう。
交差点で軌道敷を横切るときの注意点
交差点で右左折する際は、軌道敷を横切ることがあります。
このときは対向車や歩行者だけでなく、前方や後方から路面電車が来ていないかも確認しましょう。
特に右折では、路面電車の進路上で停止してしまわないことが重要です。交差点の先が詰まっている場合などは、無理に軌道敷へ進入せず、安全に通過できる状況になってから進みましょう。
路面電車の信号の見方
路面電車にも、青・黄・赤の信号が適用されます。
一方、路面電車が走る道路では、一般の車とは意味が異なる「黄色の矢印信号」が設置されていることがあります。
路面電車専用の黄色矢印信号の意味
黄色の矢印信号は、路面電車に対して進行できる方向を示す信号です。
黄色または赤信号が点灯していても、路面電車は黄色の矢印が示す方向へ進むことができます。
たとえば、
- 車が従う信号:赤
- 黄色の矢印:点灯
という場合、黄色の矢印に従って進むことができるのは路面電車です。一般の車は黄色の矢印を見て進むことはできません。
知らずに車が黄色の矢印信号で進んでしまうと、違反になってしまいます。
路面電車が走る道路では、信号の色だけでなく矢印の色にも注意しましょう。
路面電車の追い越しルール
路面電車は左側から追い越すのが原則
通常、車がほかの車を追い越すときは右側を通りますが、路面電車の場合は異なります。
道路交通法では、路面電車を追い越す場合、原則として路面電車の左側を通行することが定められています。
路面電車が道路の中央付近を走っているときは、右側から追い越そうとしないよう注意しましょう。
軌道が道路の左側にある場合は例外
軌道が道路の左側端に寄って設けられている場合は、左側から追い越すという原則の例外となります。
追い越しをする場合は対向車や路面電車の前方の交通、道路状況などを十分に確認する必要があります。
また、交差点や横断歩道付近など、追い越しそのものが禁止されている場所もあります。
「左側から通れないから右側から行けばよい」と安易に判断せず、道路標識や周囲の交通状況を確認しましょう。
路面電車の停留所付近の交通ルール
停留所付近では、乗客が車道を横断することがあります。
特に安全地帯の有無によって、停車中の路面電車への対応が変わるため注意が必要です。
安全地帯がある停留所
安全地帯とは、路面電車の乗客や道路を横断する歩行者の安全を確保するために設けられた場所です。
乗客の乗降のため停車している路面電車に追いついた場合でも、安全地帯が設けられていれば、車は徐行して路面電車の左側を通過できます。
ただし、安全地帯の中へ車で進入することはできません。
また、安全地帯の左側と、その前後10m以内は駐停車禁止です。
乗客や歩行者が近くにいる可能性を考え、すぐに停止できる速度で慎重に通過しましょう。
安全地帯がない停留所
安全地帯がない停留所では、乗客が道路を横断して路面電車に乗り降りします。
乗客の乗降のため停車している路面電車に追いついたときは、原則として乗降が終わるまで路面電車の後方で停止しなければなりません。
ただし、乗降する人がおらず、路面電車の左側に1.5m以上の間隔を確保できる場合は、徐行して左側を通過できます。
豊橋市内を走る豊鉄市内線では、東田停留場が上下線ともに安全地帯のない停留所です。
東田停留場では、乗降場所をわかりやすくするためカラー舗装が施されています。また、電車後部には「乗降中表示器」が設置されており、乗客が乗り降りする際に点灯または点滅します。
表示器が点灯・点滅している場合は乗客が乗降する合図です。路面電車の後方で停止し、乗客の安全を確認しましょう。
路面電車のある道路で注意したい運転ポイント

雨の日は線路でスリップしやすい
路面電車のレールは金属製のため、雨などで濡れるとタイヤが滑りやすくなることがあります。
特にレールを斜めに横切る場合や、二輪車で走行する場合は注意が必要です。
雨の日は急ハンドルや急ブレーキを避け、十分に速度を落として走行しましょう。
路面電車による死角に注意
路面電車は車体が大きいため、その前後や反対側がドライバーから見えにくくなることがあります。
路面電車の陰から歩行者や自転車が現れる可能性も考えて運転しましょう。
特に、路面電車が横断歩道付近で停止している場合は注意が必要です。
横断歩道を渡っている歩行者などが路面電車の陰に隠れている可能性があります。
路面電車の横を通過しようとせず、周囲の状況を十分に確認することが大切です。
よくある質問(FAQ)
- 路面電車が近づいてきたら車はどうすればいい?
-
軌道敷内を走行しているときに後方から路面電車が接近した場合は、正常な運行を妨げないように、速やかに軌道敷の外に出るか、路面電車との間に必要な距離を保ちましょう。
路面電車の進路を横切る場合も、無理に進まず安全確認をすることが大切です。
- 路面電車の停留所で電車が止まっている場合、車は通ってもいい?
-
乗客の乗降のため停車している路面電車に追いついた場合、安全地帯があれば徐行して路面電車の左側を通過できます。
安全地帯がない場合は、原則として乗客の乗降が終わるまで路面電車の後方で停止します。
ただし、乗降する人がおらず、路面電車との間に1.5m以上の間隔を確保できる場合は、徐行して左側を通過できます。
- 軌道敷はいつでも通行できますか?
-
いいえ。車は原則として軌道敷内を通行できません。
ただし、右左折や横断、転回のために軌道敷を横切る場合や、道路状況などによっては通行できます。
また、「軌道敷内通行可」の道路標識などによって通行が認められている場合もあります。
- 路面電車の信号は車と違う?
-
一般的な青・黄・赤の信号は路面電車にも適用されますが、路面電車には「黄色の矢印信号」があります。
黄色の矢印は路面電車が矢印方向へ進行できることを示す信号です。
一般の車は黄色の矢印に従って進むことはできないため、車向けの青色矢印と混同しないよう注意しましょう。
まとめ
路面電車が走る道路には、軌道敷の通行や追い越し、停留所での対応など、通常の道路とは異なる交通ルールがあります。
ドライバーが特に覚えておきたいポイントは次のとおりです。
- 軌道敷は原則として通行しない
- 軌道敷を通行できる場合でも路面電車の通行を妨げない
- 路面電車を追い越すときは原則として左側を通る
- 黄色の矢印信号は路面電車のための信号
- 停車中の路面電車に追いついたら、安全地帯の有無や乗客の状況を確認する
豊橋市のように路面電車が身近な街では、こうした交通ルールを知っておくことが安全運転につながります。
路面電車の動きだけでなく、その周辺を歩く乗客や歩行者にも注意し、余裕を持った運転を心がけましょう。
